切れ きれ

 意味の切れと音調の切れが一致する深い切れと、音調だけが切れる浅い切れがある。
 深い切れが句中にあれば二句一章の二元構成になり、句尾に置かれた場合は、一句一章の一元構成となる。句中または句尾に深い切れを置くことにより、そのあとの余白が表現空間として有効に働き、内容的なひろがり、余情を生み出す。5×75、57×5(二句一章)もしくは575×(一句一章)を定型の正格とし、×が中七にずれ込んで8×9、7×10のようなかたちになったものを変格二段切れ(胴切り、句渡り)、5×7×5のかたちを三段切れと呼ぶ。
 例句 ×が切れ
 一句一章    磨くほかない一足の靴である×   雀 郎
 二句一章    霧深し×夫婦の思想寄り添えず   千代子
 二句一章    明治とは女払きびし×座りだこ   柳葉女
 変格二段切れ  届かない愛×人形の爪のびる    榴 花
 変格二段切れ  ひとりだと思う×花火の消えるとき 芙巳代
 三段切れ    冬の喋×一羽舞い立つ×訴状より 慶 子

 
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