選者 せんじゃ

 集まった句の中から良い句を選び出す人。江戸時代は主として点者、評者、明治時代の旧派では判者を呼称として、定まった資格を指したが、新川柳では立机や允許というような権威主義を廃し、随時に選者を立てる方式を解り、作者が同時に選者である臨時の役割を指す名称となった。″課題詠・個人選”を中心システムとする川柳では、選者はそのつど任意に指名されて、これに当たる。

 川柳という個人の名称が文芸名にまでなった大きな理由の一つは、初代川柳がたぐい稀な「選句眼」を持っていたことによる。良い作家があり、良い選者を経て良い作品が生れる。
 幕末以降、句会が作句の中心となり、任意選者制をとって以来、作品の質は低下した。句会における相互の楽しみという場合には、任意選者でよいが、真に良い作品を社会に送り出そうとする場合には、選者の重要性が無視できない。
 公募川柳やメディア川柳において、川柳が誤解される場合が出てくるのは、専門の選者の目を通さない作品が横行することが多い。したがって、オリジナリティーの面や文芸としての質をもたない作品が出回ってしまう。
 川柳の質を保ち、誇りをもつためには、優れた選者を多数養成することが急務である。

 
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